2017年6月20日火曜日

手術や抗がん剤でがんの治療をしても、5年後の生存率は、何もしなかった場合と変わらないケースが多いことから、がんとは闘わない方が良いという説もある。(1)


 

 

 

 

『ヘルシーエイジング  東大が考える100歳までの人生設計』

東京大学高齢社会総合研究機構    幻冬舎  2017/3/16

 

 

 

ヘルシーエイジングとは、身心が衰えてきても、そこそこ元気に楽しく、自分らしく、自立的に暮らし続ける。ほどほど健やかな歳のとり方をめざす考え方

 

100歳までの人生後半戦をどう生き抜くか>

・現在の日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳(2015年)。これは、まだまだ延びて、2050年頃には、男性84歳、女性90歳になると予測されている。また、平均余命で見れば、現在65歳の人の平均的な寿命は男性84歳、女性89歳。さらに、同年齢の人達の中で最も多数の人が死亡する年齢(死亡年齢最頻値)は、男性86歳、女性92歳である。このように、90歳や100歳まで生きることは当たり前の時代になっているわけだが、問題は、ピンピンコロリとは逝けず、死ぬ前に要介護や寝た切りになって自立的に暮らせなくなること。たとえば、2009年に、亡くなられた方の平均的要介護期間(要介護2以上の期間)は、男性1.6年・女性3.5年だった。これは平均値なので、要介護にならずに亡くなられた方もいれば、何年も寝た切り生活をされた方もいるわけだ。

 

<「ヘルシーエイジング」とは>

寝た切りになってオムツをあてられて何年も生きながられるのは嫌だし、重い認知症になって家族や社会に迷惑をかけるのもつらい。でも、なかなか死ねない。なんとかお迎えが来るまでは、身心が多少衰えてきても、そこそこ元気に楽しく、自分らしく、できるだけ自立的に暮らし続けたい。こうした歳のとり方を、最近は「ヘルシーエイジング」と呼ぶようになってきた。

 

寝た切りにならない老後のために

・ヘルシーエイジングをめざすといっても、サラリーマンは、定年退職をして家に引きこもってしまうと心も身体も弱ってしまう。

 

「ヘルシーエイジング」とは、要するに、要介護にならないよう自分の生活をデザインすることである。日本の高齢者が要介護となる原因は、①骨・関節疾患が約25%(うち転倒・骨折だけでも約12%)、②脳血管障害が約19%、③認知症が約16%である(2013年)。これら3大要因は、生活習慣の改善(食事・運動・休養)で予防あるいは発症を遅らせることができる。また、転倒骨折や脳血管障害の発作については住環境の改善でリスクを低減できる。つまり、食事・運動・休養と住環境をデザインすることがが、ヘルシーエイジングの鍵となる。

 

<人生後半の生活を自分でデザインしよう>

・つまり、自分の近未来の変化(要するに老化)を直視し、変化に対応したライフスタイルをデザインして、それを実行することがポイント。

 

「ヘルシーエイジングを実現するための生活の指針集」。つまり60歳からの「食う・寝る・遊ぶ(+活動する・仕事する)」のライフデザインの方法を示したマニュアルだ。

 

<ヘルシーエイジングとは>

・これを見ると、低下のパターンには、①生涯元気型(ピンピンコロリ型)、②ダラダラ下り型、③早死型、の3タイプがあることがわかる。

  の生涯元気型(ピンピンコロリ型)を望む人は多いと思うが実際には

少ない。③の早死型の原因の多くはがんか脳血管障害である。ちなみに、日本の高齢者の死亡原因は、がん・心筋疾患・肺炎・脳血管障害・老衰・自殺・事故の順である(2015年)。

 主流はダラダラ下り型である。加齢とともに、心身が次第に虚弱化していく。途中で大病したり大怪我したりで、大きくヘコんだり、その後少し回復したりもするパターンである。

 ダラダラ下り型の人の生活能力が低下し要介護になる3大要因は、①筋力低下や転倒骨折、関節や脊柱の障害などによる運動機能の障害(25.0%……うち転倒骨折によるもの11.8%)、②脳血管障害による片麻痺など(18.5%)、③認知症(15.8%)である。

 

<寝た切りにならないために(要介護3大要因の予防法)>

要介護になる3大要因(①運動機能障害、②脳血管障害、③認知症)は、いずれも生活習慣の改善で、かなり予防できる。少なくとも発症を遅らせることができる。

 

<要介護3大要因の予防法>

  運動機能障害(ロコモ)筋力低下を防ぐ

・女性では65歳以上になると、60%以上が、変形性膝関節症のための膝の痛みや骨粗鬆症による腰痛・背痛・背中の曲がりなどを訴え、日常動作や歩行に不自由が生ずる。男性では椎間板の変性や骨棘、脊柱管狭窄症などによる、腰や背中の痛みや脚のしびれなどにより日常生活の活動性が低下する。こうした関節障害や腰の痛みは、筋力低下によることが多いので、鎮痛剤などの薬では治らないが、食事療法や運動療法で痛みが取れることが多い。

 

  脳血管障害:メタボと糖尿病を防ぐ

・脳血管障害と心筋梗塞の原因は、高血糖症(糖尿病)・高脂血症・高血圧症・内臓脂肪過剰、つまりメタボリック症候群(メタボ)だといわれている。メタボ対策については、後の戦略編で詳しく説明するが、結局は、ロコモ対策と同様、適切な食事と運動と休養だ。

 

・糖尿病というのは、血中の濃度(血糖値)が常時高く、そのため体の様々な部分がダメージを受ける病気。病状が進むと、血糖値を常時測って、血糖値が高くなるとインスリンを注射して血糖値を下げないといけない生活になる。しかし、そういう人でも、糖質(炭水化物)を大幅に減らした食事にして、食後でも血糖値が上がらないようにすれば、しだいにインスリンを使わなくても生活できるようになる。といっても、これは糖尿病が治ったわけではなく、薬に頼らず、食事で糖尿病をコントロールできる状態になったということだ。ともあれ、糖尿病の予防には、むやみに血糖値を上げないような生活習慣、つまり適切な食事と運動と休養を心がけることがポイントだ。

 

  認知症も生活習慣病

・認知症の原因は、基本的には老化なので、根本的な治療や予防は難しいが、発症を遅らせたり、進行を遅らせたり、生活上の障壁にならないよう配慮することはできる。

 

・認知症の5つの型

 認知症には、以下の5つの型があるといわれている。

(1) 脳神経に老廃物のたまるアルツハイマー型認知症

(2) 脳の血管がつまっておこる脳血管性認知症

(3) 右の(1)、(2)両方の混合型

(4) 脳の神経細胞に不要なタンパク質のたまるレビー小体型認知症

(5) 脳の前頭葉や側頭葉が委縮しておこる前頭側頭型認知症

 

2)は要するに脳血管の動脈硬化である。(1)のアルツハイマー型も動脈硬化と関係が深いことがわかってきた。また、(4)も脳の血行を良くして不要なタンパク質がたまらないようにすることが効果的であることがわかってきた。

 つまり、認知症になるリスクを減らす、あるいは進行を遅らせるためには、動脈硬化を防ぐことがポイント。つまり、糖尿病、高血圧、脂質異常、脳卒中などを予防するのと同じである。

 

<認知症の方法>

・認知症を予防する基本は、脳の血行を良くすることらしい。運動しながら頭を使うこと、たとえば、歩きながら頭の中で引き算をすると、認知症の予防になるという説がある。要するに、全身と脳の血行を良くして、脳内の代謝を促進するのが良いらしい。

 そもそも脳は、重さ約1.5㎏で体重の2%程度しかないが、その脳では、全身の酸素消費量の1/425%)を使う。つまり、脳では全身で消費するカロリーの1/4を消費しているので、それだけの血液が脳の中を流れていかないといけない。

 

  がんについて

・がんという病気の本質

 がんとは簡単にいうと、まず、何かの拍子に遺伝子の配列や働き方が変わってしまった細胞が発生し、これがどんどん増殖して大きくなり、また、あちこちに転移して、体の機能を損なったり、痛みや出血を引き起こすようになる病気。

 人間の体の中では、ふだんでも遺伝子配列の一部が変異した細胞が生じているのだが、こうした「遺伝子の壊れた細胞」は自滅して死ぬようになっているし、自滅機能も壊れてしまった細胞が生じた場合でも、こうした「異質な細胞」は、体の免疫機能によって殺される。ところが、体の免疫機能が弱っていたり、細胞の変異が免疫機能によって見つけにくいものであったりすると、この変異した細胞が、免疫機能の隙をついてどんどん増殖して、大きな塊…つまりがんになってしまうことがある。

 したがって、がんの治療方法は、がん細胞の塊を外科手術で切りとってしまうか、放射線をあてて殺すか、癌細胞に作用する毒(抗がん剤)で殺すか、体の免疫機能を何らかの方法で特別に活性化して癌を殺すかのいずれか、または、いくつかの組み合わせということになる。

 

・癌ができた人の中には、少数だが、何もしなくても、あるいは食事や生活習慣を変えることで、弱っていた免疫機能が活性化して癌が消えてしまう人もいる。また、手術や抗がん剤で、一度は癌細胞を殺してとり除いても、体の免疫機能を弱ったままにして、生活習慣を変えないでいると、ふたたび癌細胞が発生し増殖することになる。

 手術や放射線治療では、すべての癌細胞をとり切れない場合が多いこと。抗がん剤を使っても効かない場合が多く、体へのダメージから体力・免疫力を下げてしまうだけのことも多いこと。手術や抗がん剤でがんの治療をしても、5年後の生存率は、何もしなかった場合と変わらないケースが多いことから、がんとは闘わない方が良いという説もある。

 とはいえ、大腸がんで腸が閉塞してしまった場合など、ただちに手術をしないと命にかかわる場合もあるし、万人には効かなくとも、2割程度の人に対しては劇的に効く抗がん剤もあるので、一概に、がんとは闘わない方が良いともいえない。

 

<がんの予防>

・このようにがんの治療法については、まだ決め手がないが、がんの予防や再発防止のためには、がんのタネとなる「遺伝子の壊れた細胞」が体内で生ずるリスク(たとえば放射線の被爆や発がん物質の摂取など)を避け、体の免疫機能を正常に保つよう食事や生活習慣に配慮し、ストレスに上手に対応し、安眠を確保することがポイントである。

 肥満はがんになるリスクを高め、適度な運動はがんになるリスクを下げるという。また、多種類の野菜や果物、全粒の穀類(玄米など)や豆類を食べ、肉類(牛・豚・羊)を控えめにするとがんになるリスクを下げるともいわれるが、これは、そうした食生活が、腸内環境を整え、肥満を防ぎ、栄養のバランスを確保して体調を良くし、これらの結果として体の免疫機能が向上することが、がんになるリスクを下げるのだろう。

 

正常な細胞の遺伝子を壊して癌細胞のタメをつくる「発がん物質」の代表はタバコ。その他、酒(アルコール飲料)や、コールタール、煤煙、ベンゼン、ディーゼルエンジンの排ガス、紫外線なども、2013年の国際がん研究機関(IARC)のランクづけでは、グループ1(発がん性あり)に分類されている。

 

<食生活と発がんリスク>

日本人は塩分を摂りすぎなので胃がんが多いという説がある。これについては、単に食塩の摂取総量が多いためではなく、胃壁を傷める塩気のきつい塩辛などの塩蔵品を常食することが原因だとする調査結果がある。すきっ腹に塩辛で熱燗をキューっとやるのは呑助にはたまらない快楽であるが、確かに胃袋には強いストレスだろう。また、強い酒や、塩気のきついものの他、茶粥のような熱いもの、アク抜きをしないワラビなどアクの強いものなど、要するに粘膜を傷めるものは、食道がんや胃がんになるリスクを高めるらしい。一方、大腸がんについては、腸内環境を整えるため食物繊維を摂ることや、乳酸菌を摂ることが良いといわれている。

 こうして見ると、結局のところ、がんの予防についても、鍵は「食う・寝る・遊ぶ(適切な食事・安眠休息・心身の運動)」のようだ。

 

基本原則は「食う・寝る・遊ぶ/働く」>

・以上のように、寝た切りにならず、できるだけ元気に自立的に生涯を全うしようというヘルシーエイジングのためには、適切な食生活、自分に合った心身の活動、十分な休養を心がけ、自分のスタイルと必要に応じた生活環境を整え、適度なストレスを避けつつ、社会との適度なつながりを保つこと。これが基本原則である。

 

<食養生の心構え>

<脂肪を増やすな・筋肉を減らすな>

<食べすぎはいけない。栄養不足もいけない>

・食を通じて心身の健康を保つこと、つまり、食養生の基本は、①食べる炭水化物と脂質(およびアルコール)の量をコントロールして余分な体脂肪を増やさないことと、②必要十分なタンパク質、ミネラル、ビタミン、必須脂肪酸などを摂って体の組織を維持することだ。

 

<減量するならタンパク質と運動を>

・メタボ対策や、膝や腰への負担を減らすために、減量しようという人は、タンパク質を十分に摂り、運動をして、筋肉が減らないようにしないと、体の基礎代謝量が減って、かえって体脂肪が増えたり、筋力低下から運動障害を起こすことになる。

 

<体内で脂質に変わるアルコール>

余分な資質をためこまないという点では、酒(アルコール)も大きなカロリー源だ。

 

薬では治らない生活習慣病

・高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、薬では治らない。生活習慣、つまり日々の食事と運動・休養などの方法を変えないと治らない。にもかかわらず、病院では、食事や運動の指導はあまり行われず、血圧や血糖値を下げるための対処療法的な薬が処方されるだけのことが多い。危険な状態の場合は、症状を抑えることも重要だが、薬で症状を抑えたからといって、生活習慣を改めないと、だんだん薬が効かなくなって、病気が重くなっていく。

 また、関節の痛みや腰痛も、薬では治らない。食事と運動で筋力を回復することによって症状は改善する。鎮痛剤は痛みの原因をとり除くわけではないし、むしろ、副作用で動作を鈍らせるので、筋力低下を進行させることになる。

 

 

 

『今あるガンが消えていく食事』

進行ガンでも有効率66.3%の奇跡

20個あった肝臓ガンがすべて消失」「膵臓ガンが1/3に縮小した」

済陽高穂   マキノ出版  2008/10/15

 

 

 

 

再発を含む進行ガンでも、きちんと食事療法を行っていけば、67割が改善する

・現在までの約10年間に、食事指導を行った各種ガンの症例について、集計結果が出ました。対象は、胃ガン、大腸ガン、肝臓・膵臓のガン、前立腺ガン、悪性リンパ腫など、計20例です。いずれも晩期ガンを含む進行ガンで、根治手術後の再発例も約半数含みます。

 これらの患者さんに食事療法を行ったところ、完全治癒13例、改善58例、不変2例、進行3例、死亡34例で、有効率66.3%という結果を得ました。さらに、乳ガン・前立腺ガン・悪性リンパ腫といった、ガンのなかでも食事療法が効果を示しやすいものについては、7075%の有効率となっています。

 つまり、再発を含む進行ガンでも、きちんと食事療法を行っていけば、67割が改善するのです。

 

<質と量に気をつければ牛乳・乳製品は健康食になる>

・ヨーグルト以前に、その材料となる牛乳について、最近は肯定的な意見と否定的な意見があり、迷う人も多いのではないでしょうか。

 私は、この問題の決め手は「量」と「質」だと思っています。

 牛乳は、カルシウムをはじめとする栄養素を豊富に含む天然の健康食品ですが、乳脂肪を多く含むので、とりすぎるとかえって肥満や脂質異常症の危険が増すこともあります。

 

・実は、私自身も昼食には必ずヨーグルトドリンクを500ミリリットルとっているのですが、最初は牛乳を飲んでいました。同じ外科医として尊敬する先生が、50年来、リンゴと牛乳の昼食をとり、90歳を超えてもかくしゃくとしておられるのに感銘を受け、50歳になったときから同じ内容の昼食をとり始めたのです。

 しかし、昼食としてリンゴ1個と牛乳1リットルをとっていたところ、牛乳を飲むとどうもおなかがゴロゴロと不安定になるうえに、半年で4キロも太ってしまいました。そこで、リンゴ1個とヨーグルトドリンク500ミリリットルに換えたところ、おなかの調子がよくなり、体重も戻ってすこぶる快調になりました。

 牛乳でおなかが不安定になるのは、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が不足しているせいです。

 

・いずれにしても、卵と乳製品(ヨーグルト)については、「オボ・ラクト・ベジタリアン」(卵と乳製品はとる菜食主義者)という言葉もあるほど、ほかの動物性食品とは一線を画す「天然の健康食品」ですので、「高品質のものを適量(300グラム程度。とりすぎないよう注意)」という条件を守ったうえで、ぜひとり入れてください。

 

<キノコのβ―グルカンと海藻のフコイダンが免疫力を増強>

・さて、ヨーグルトと並んで、すぐれた免疫賦活力を持つとされるのがキノコと海藻です。シイタケをはじめとするキノコ類には、「β―グルカン」と呼ばれる免疫賦活物質が含まれています。

 その一部は医薬品にされ、当初は注射薬としてガン治療に用いられていました。私たちも使いましたが、残念ながら、これはあまり効かず、とくに進行ガンには効きませんでした。ところが、最近になって、ナノテクノロジーによってβ―グルカンを微粒子にしたサプリメントが開発され、これをとるとリンパ球がふえ、免疫力が上がることがわかってきました。

 

・海藻もキノコも、食物繊維を豊富に含むので、前述の「プレバイオティクス」の視点からも、野菜と並んでおすすめしたい食品です。毎日の食事に、ぜひたっぷりとり入れましょう。

 

<ハチミツ、レモン、ビール酵母も習慣的にとる>

・ハチミツは、古来、滋養に富む食品として知られてきました。幅広いビタミン・ミネラルやオリゴ糖などを含み、花粉も多く入っています。ハチミツに含まれる花粉は免疫を賦活することがわかっています。

 そこで、ガンの食事療法では、1日に大さじ2杯程度のハチミツをとることをおすすめしています。

 

・ハチミツとともに、毎日習慣づけてとってほしいのがレモンです。

 レモンには、ビタミンC、クエン酸、ポリフェノール、カリウムなどの有効成分が豊富に含まれています。ここまで述べてきたとおり、いずれもガンの抑制には欠かせない重要な成分です。

 目安として、12個のレモンをとるようにしましょう。

 

・以上のほか、ガンの患者さんにすすめているものとして、ビール酵母食品(エビオス錠)があります。ここまで紹介してきたのはみな自然の食品でしたが、ビール酵母食品だけはサプリメントです。

 

・ビール酵母食品は、こういった植物性たんぱくと動物性たんぱくの、いわば「いいとこどり」の食品なのです。そこで、動物性食品を厳しく制限するガンの患者さんの食事療法に取り入れるには最適というわけです。

 そこで、私のガンの食事指導では、ビール酵母食品を朝晩10粒ずつ、1日合計20粒とってもらっています。

 

<オリーブ油、ゴマ油を活用して脂肪酸のバランスをとる>

・しかし、現代人の食生活では、このうちn・6系の多価不飽和脂肪酸に属するリノール酸の摂取量が非常に多くなっています。これは、油を使った加工品や外食メニュー、スナック菓子などに、リノール酸の多い植物油が多く使われているのが大きな理由です。

 リノール酸は、体に適量が必要な「必須脂肪酸」で、欠乏すると皮膚症状などを起こすのですが、あまりにも偏って多くとりすぎると弊害が出てきます。最近では、n・6系の多価不飽和脂肪酸に極端に偏った食生活は、ガンを含む生活習慣病の危険性を増す一因になるといわれます。

 

・このバランスを是正するには、植物性脂肪酸全体をとりすぎないように気をつけたうえで、n6系の多価不飽和脂肪酸が多い一般的な植物油を少なくし、できるだけn3系の多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸の摂取の割合をふやす必要があります。

 とくに、ガンの患者さんがとる植物性脂肪としては、シソ油やエゴマ油、亜麻仁油などがすすめられます。ただし、これらは加熱すると酸化しやすいので、原則として生で使うドレッシングなどに限定して使うほうがよいでしょう。

 

・トランス脂肪酸は、液状の不飽和脂肪酸を固めるために、水素を添加して飽和脂肪酸に変化させる過程でできるもので、マーガリン、ショートニング、スナック菓子、フライドポテト、プロセスチーズなどに多く含まれています。

 トランス脂肪酸は、LDLコレステロールをふやして動脈硬化の危険を高めるとともに、前述したメカニズムでマクロファージの活性を弱め、免疫機能を低下させるといわれています。

 

・欧米では、数年前からトランス脂肪酸に関して規制の動きが出ています。日本でも、最近、自主規制などの動きが見られるようになってきました。とくに、ガンの食事療法では、トランス脂肪酸の多い食品はさけるようにしましょう。

 なお、チーズは乳糖のほとんどが分解されている消化のよい乳製品としておすすめできますが、トランス脂肪酸のことを考慮し、食べるならナチュラルチーズを選ぶとよいでしょう。

 

<自然水を飲む>

水分は代謝に不可欠で、成人の体内では、1日に2リットル前後の水が使われ、入れ替わっています。その水を、何でとるかは重要な問題です。

 

・しかし、健康を気遣うなら、とくにガンの食事療法では、水道水を飲むことをおすすめできません。水道水中には、添加された塩素やフッ素が含まれ、それを摂取することで、体内で活性酸素がふえるからです。

 ガンの患者さんに限らず、病気の人やお年寄りは、できるだけ水道水は飲まずに、自然水を飲むことをおすすめします。

 

・ガンの食事療法では、大量の野菜ジュースを飲むので、それほど多くの水は飲まないかもしれませんが、それでもストレートに吸収されるものだけに、飲むときは必ず自然水か浄水器を通した水を飲みましょう。お茶やコーヒーなどを飲むときも同じです。

 以上の8項目に加え、断酒と禁煙も大切です。

 

<ガンを起こす4つの要因がわかってきた>

・さまざまな統計をもとに、ガンの原因の約30%が喫煙、4050%は食品やそれに準ずるもの(添加物など)だと発表しました。つまり、およそ半数は「口から入るもの」が原因となっているわけですから、そのことだけを考えても、ガンの対策として「食事」はたいへん重要です。

 

これまでわかっている食品関連のガンの原因のなかで、とくに私が重要視しているのは、次のようなものです。

 

塩分のとりすぎ(ミネラルのアンバランス)

クエン酸回路の障害

過剰な活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酵素の一種)の発生

動物性のたんぱく質・脂肪のとりすぎ

 

<塩分のとりすぎ>

 塩分の多い食事は胃ガンの危険性を高める

・塩分は、とくにとくに胃ガンと深いかかわりがあり、さらにはガン全般ともかかわっています。

 

・当時、秋田県は、脳卒中が非常に多い県として知られていました。保存の利く漬物や塩蔵品による塩分摂取量が多いことや、塩辛いものをつまみながらお酒を飲む人の多いことが、大きな理由と考えられました。つまり、塩が脳卒中の発症率を高めている”主犯”とされたのです。

 

・秋田県では、独自に「秋田県立脳血管研究センター」という研究施設をつくり、脳卒中をへらすための研究と減塩を呼びかける運動を始めました。

 

すると、それに伴って、脳卒中の発症は、全国平均よりわずかに多いくらいになり、秋田県の数値だけを見ると、およそ半分にまでへらすことができました。

 ところが、改善したのは脳卒中だけではありませんでした。脳卒中が半減するとともに、胃ガンの発症が3分の1になったのです。減塩の意外な副産物でした。このことが話題となり、研究者が胃ガンと塩分の関係に注目する大きなきっかけとなったのでした。

 

塩分とピロリ菌がタッグを組んで胃ガンをふやす

<ガンを改善するには「限りなく無塩に近い食生活」が必要>

<クエン酸回路の障害>

<発ガンのリスクを高めるATPの不足>

・クエン酸回路がうまく回らなくなってATPが不足すると、細胞内外のミネラルバランスがくずれて発ガンにつながることが、最近になってわかってきました。

 

<過剰の活性酸素の発生>

<ガン・生活習慣病・老化の元区になる活性酸素>

・ここで威力を発揮するのが、活性酸素を除去する働きを持つ「抗酸化物質」です。ビタミンA(カロテン)・CEや、数百種類以上あるといわれるポリフェノールなどは、その代表格で、新鮮な野菜・果物に多く含まれています。

 多くのガンの食事療法で、新鮮な野菜・果物の大量摂取をすすめるのは、ここに大きな理由があります。生ジュースや青汁、そのほかの形でとる大量の野菜や果物は、活性酸素の除去を通じて、ガンのリスクを下げ、進行を阻止する大きな力になってくれるのです。

 

<動物性のたんぱく質・脂肪のとりすぎ>

<動物性脂肪をとりすぎるとマクロファージがムダに使われる>

・多くのガンの食事療法では、動物性食品を制限しています。動物性食品とは、広い意味でいえば魚や鶏肉も含めた魚介・肉類ですが、狭い意味では四足歩行動物、つまり、牛・豚肉を指します。

「済陽式ガンの食事療法」では、魚介類と鶏肉は、種類や部位を選べば「少量ならよい」としていますが、牛・豚肉はかなり厳しく制限します。とくに、ガンの手術から、少なくとも半年くらいの間、あるいは、手術が不能な進行ガンで、食事療法を徹底して行うような場合は、完全に禁止です。

 なぜなら、失・豚肉は、その脂肪もたんぱく質も、それぞれにガンの発生・悪化を促す要因となるからです。

 

<アニマルプロテインは発ガンを促す>

・最近では、脂肪だけでなく、動物性たんぱく質(アニマルプロテイン)も、ガンのリスクを高めることがわかってきました。

 

<動物性食品は悪玉菌をふやして大腸ガンのリスクも高める>

・動物性食品については、もう一つ別の面でも、ガンとの関連が注目されています。それは、腸内細菌を介して起こる大腸ガンへの影響です。

 私たちの腸には、300種類・100兆個といわれる腸内細菌が棲んでいます。この腸内細菌には、健康づくりに役立つ「善玉菌」と、逆に毒性を持っていて病気のもとになる「悪玉菌」があり、両者は絶えず、勢力争いをしています。

 

<自ら試して考案した合理的な「星野式ゲルソン療法」>

・主な禁止事項と野菜・果物の大量摂取など、大きな指針は原法どおりですが、野菜ジュースは「1400ミリリットルを13回以上飲む」としています。原法より野菜ジュースが少なくなる分、ビタミンC剤などを補給します。

 また、ニンジンジュースにリンゴを加えて飲みやすくする、植物性でありながら動物性たんぱくに似た味わいを持つ代用たんぱくを活用するなど、実践者ならではのきめ細かい提案もされています。

 

50年の歴史を有しガンや難病に実績のある「甲田療法」

・甲田療法では、患者さんの状態に応じて、断食や少食療法、玄米生採食を適宜行います。玄米生採食とは、文字どおり、玄米採食のすべてを加熱しないで生でとる方法で、主食は生の玄米粉とし、大量の青泥(葉菜をすり鉢ですったりミキサーにかけたりしてドロドロの状態にしたもの)や青汁、根菜のすりおろしをとるのがポイントです。朝食は抜き、昼と夜は玄米生採食にします。

 甲田先生は、薬をいっさい使わず、これらの療法で多くのガンや数々の難病を治療しておられます。

 

・ゲルソン療法と甲田療法は、違いもありますが、次のような主要な部分では共通しています。

 

・動物性の脂肪とたんぱく質の禁止

 

・塩分制限(甲田療法では自然塩を適量なら可)

 

・大量の生野菜の摂取(ゲルソン療法では野菜ジュース、甲田療法では青汁やすりおろし)

 

・胚芽(未精白穀物)の摂取(ゲルソン療法ではオートミールや全粒粉の小麦粉、ライ麦パン、甲田療法では玄米)

 こうした共通点に、ガンの食事療法の重要な要素があるのではないかと考えたことも、私にとっては大きな参考になりました。

 

米国では食事とガンの関係がくわしく研究されている

5000ページに及ぶこのレポートでは、「ガンや心臓病など種々の慢性病は、肉食中心の誤った食生活が生み出した『食原病』であり、薬では治らない」と断じ、「私たちはこの事実を率直に認め、ただちに食生活を改善する必要がある」と述べています。

 さらに、その具体策として、「肉を中心とした高エネルギー・高脂質の動物性食品をへらし、できるだけ未精製の穀物、野菜、果物を多くとる」ことを提言しています。

 

・そのなかでは、ガン抑制効果の最も高い食品として、ニンニク、キャベツ、大豆、ショウガ、ニンジンなどが、それに次ぐ食品群としてタマネギ、お茶、柑橘類などがあげられています。

 

<ガン対策にも有効な健康食として米国で大人気の日本食>

・「ガンの原因の30%は喫煙、35%は食事であり、アルコールや薬剤、添加物などを含めると、ガンの原因の4050%は食品(口から入るもの)である」と発表しました。

 

・全米にある128の大学のうち、現在では半数以上が「医科栄養学」、つまり、医学部における栄養教育を重視しているそうです。

 以上のような研究と、それを受けた具体的政策、食事指導の成果で、ここ十数年、米国ではガンがへり続けているのです。米国に限らず、多くの先進国では十数年前から、ガンの栄養指導を行なっています。

 この分野では、残念ながら、日本はかなり立ち後れています。現代の日本のガン医療は、そろそろ真剣に食事との関連を考えていかなければならない分水嶺にきていると思われます。

 

 

 

100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』

大谷憲 片平健一郎   あさ出版  2013/11/11

 

 

 

いい生き方・いい死に方を決める鍵は「眠り方」にある

・あなたが、いかに健康で楽しい人生を送り、苦しまない最期を迎えられるかは、「眠り方」にかかっています。

 

・ご長寿国家日本では、「平均8年間寝たきり」の現実が

 

100歳まで健康か病気がちかを分けるのは、「眠り方」だけ

 

・人生の3分の1を費やす睡眠が「一生の質」を決定づける

 

・なぜ、私は、数ある健康法のなかでも「眠り方」にたどり着いたのか。これにはいくつか理由がありますが、いちばん大きな理由として挙げたいのが、「どんな人でも寝ることはできる」ということ。

 人間は生きていれば必ず睡眠をとります。たとえ病人であっても、寝たきりになったとしても、「寝ること」だけはできるはずです。

 

<ぽっくり死ぬためのキーワードは「血流」と「睡眠」>

<郷ひろみさんの血管年齢は20代>

・たしかに、郷さんは日々ジムなどに通って、肉体のトレーニングを欠かさないからこそ、激しいダンスやパフォーマンスでファンを魅了できるのでしょう。

 

・なんと、「血管年齢が20代よりも良好」と判定されていたのです。番組によると、中性脂肪、血糖値、コレステロールなどが、すべて20代平均よりもよい数値でした。

 私たちは、仕事柄たくさんの人の血管を見てきていますが、郷さんの結果は奇跡的といっても過言ではありません。過度のストレスや不規則な生活をしている現代人の多くは、実年齢よりも血管年齢のほうが上であることが多いからです。

 

・その番組の中では、郷さんの1日の生活習慣を紹介したうえで、若さの秘訣は、「自律神経のバランスをうまくとっていることにある」と結論づけていました。

 

<交感神経と副交感神経のバランスが健康の秘訣>

・自律神経とは、簡単に言えば、呼吸や血液の循環、消化、代謝など生きるために大切な機能をつかさどる神経のこと。

 その名の通り、人の意思とは関係なく自律的に働いている神経で、たとえば、人が眠っているときでも呼吸を続けられるのは、自律神経のおかげです。

 自律神経はさらに「交感神経」と「副交感神経」の2つに大きく分けられます。

 交感神経はストレスがかかっているときに優位に立つ神経で、たとえば、スポーツなど活動しているときや興奮時に優位になります。副交感神経はリラックスしているときに働く神経で、夕食後など休憩時やリラックスしているときに優位になります。この2つがうまくバランスをとることで、体が正常に機能しています。

 

<あなたの快眠度セルフチェック>

Q・あてはまるものをチェックしてください。

 

1、 寝つくまで1時間以上かかる。

2、 ひと晩に2回以上目が覚めて、その後なかなか寝つけない。

3、 朝の目覚めが普段より2時間以上早く、目覚めたあと眠れない。

4、 日中に過度な眠気があったり、居眠りしてしまったりする。

5、 寝言、いびきが多い。

6、 ぐっすり眠ったという実感がなく、寝足りなさが常に残る。

7、 トイレに二度以上起きる。

8、 夢ばかり見る。

9、 朝目覚めが悪く、気だるい。

10、 「睡眠中に無呼吸になることがある」と言われたことがある。

11、 朝、顔がむくんでいる。

12、 物忘れがひどい。

13、 吹き出物ができやすい。

14、 寒がり、冷え性だ。

15、 風邪をひきやすく、治りにくい。

16、 首、肩が凝る。

 

・チェックが5個以上 慢性不眠、あなたの睡眠は危険水域!すぐに改善を!!

 

3~4個  不眠気味かも!?気をつけましょう。

 

2個以下  比較的よい睡眠がとれています。できるだけ維持を。

 

<ポイントは「毛細血管」の血流>

・血流とひと口で言っても、特に大事なのは「毛細血管の血流循環」ということ。毛細血管は、動脈と静脈をつなぐ細い血管のこと、血管はなんと、髪の毛の直径の10分の1ほどの細さです。

 心臓から送り出された血液は、動脈から毛細血管に流れ、静脈を通って心臓に戻ります。

 人間1人の血管をすべてつなぎ合わせると、約10万キロに達すると言われていますが、これは地球を2周半するほどの距離です。

 そしてその血管のうちの実に95%以上は、毛細血管と言われています。こうした毛細血管が、体中に張りめぐらされています。

 人間の体は、60兆個の細胞で構成されていますが、毛細血管はこれらの細胞に栄養や酸素を運搬するという大切な役割を担っています。

 

・末梢の毛細血管まで血液が十分にまわらないと、細胞はその役割を果たすことができませんが、十分な血液によって活性化した細胞は再生能力が高まり、免疫機能も上がります。

 

・郷ひろみさんが若々しく健康的なのは、血管年齢が若く、血流がよいことが大きく影響していることが想像できますよね。

 ぽっくり逝きたければ、昼は活発に活動し、その中でストレスを感じたら、副交感神経を優位にできる時間を確保する。そして夜は副交感神経を優位にすることです。それが毛細血管の血流循環をよくする秘訣です。

 

・しかし、忙しい現代人は夜になっても緊張から解放されず、交感神経が高ぶったままなかなか寝つけない人が増えています。夜に副交感神経を優位なコンディションにすることができる生活スタイル、テクニックが求められます。

 睡眠前に、毛細血管まで血液がスムーズに流れていると、体温が高くなり、リラックスした心地よい睡眠をとれるようになります。

 血液と睡眠は、実は、健康を保つうえで密接に関係しているのです。

 

<ぽっくり逝きたいならいい睡眠をとりなさい>

<睡眠中は体の温度は低くなる>

・子どもを育てたことがある方ならご存じでしょうが、子どもは眠くなると、手のひらから足先まで熱くなってきます。人間は眠りに入り始めると、毛細血管がゆるんで、心臓から遠い手足の毛細血管まで血液が流れ込むからです。

 しかし、眠っているとき、人の体温は下がっています。

 矛盾したことを言うようですが、皮膚の表面温度が上昇する代わりに、深部体温(脳や内臓などの温度)は、放熱して11.5℃下がっていきます。

 睡眠中は血液を手足の毛細血管に移動させることにより、体温を下げ、基礎代謝能力を下げて、脳と体を休ませようとしているわけです。

 反対に、頭や心臓が活発に働く日中は体の中心温度が高く、手足の体温が低くなります。

 ここ最近、「手足が冷えて眠れない」と悩んでいる人が増えています。こういった悩みのほとんどは、低体温で血流が悪いことが原因です。

 

・もともと体温の低い人は、体の中心部の温度を冷やさないように血液が極力皮膚を通らないようにするため、毛細血管の血流が悪くなり、手足が冷えてしまいます。いざ眠ろうとしても、手足に血液が流れないので、深部体温が下がらず、体がなかなか眠る状態にならないのです。

 問題は寝つけない事だけではありません。毛細血管まで十分な血が回らず、皮膚の表面温度が下がったままだと、「体が覚醒している」と勘違いしてしまいます。そのため、脳と体を十分に休ませることができないのです。

 

<質の悪い睡眠は万病のもと>

・質の高い睡眠がとれないと、心身ともに悪影響が出てきます。

 

・十分な睡眠をとらないと、脳細胞が死んでしまい、学校の成績や作業効率に影響します。

 

 また、風邪などの病気にかかりやすくなるだけでなく、がんなどの病気も誘発します。肥満の原因にもなったり、自律神経のバランスが崩れてうつ病になる人もいます。認知症の原因になるとも言われています。

 さらに、最近の研究では「6時間以下の睡眠で1週間を過ごした人は、炎症や免疫系、ストレス反応に関連する711の遺伝子の発現に影響が出た」という結果が出ました。また、睡眠不足の人たちの遺伝子は、概日リズム(睡眠・覚醒などの1日周期のリズム)が不規則になることも報告されています。つまり、質の悪い睡眠は、遺伝子レベルでも人間の健康を阻害することになるのです。

 

・一方で、質の高い睡眠をとれば、自律神経のバランスを保つことができます。それは、毛細血管への血流循環に好影響をもたらし、ますます健康になっていきます。

 つまり、「血流をよくすること」と「いい睡眠をとること」は、互いに相乗効果をもたらし、ぽっくり死の実現に大きく貢献してくれるのです。

 

<「あたため睡眠」が日本を救う>

・「長生きの秘訣」の1つ目は 「いつまでも夢を持つこと」。

 

2つ目は「自分でできることは自分ですること」。

 

日本人1人ひとりがこの2つを実践できれば、100歳まで元気でぽっくりと逝くことができ、よりよい社会を構築できる。

 

・私の祖父は83歳のときに脳梗塞で倒れたあと、肺炎、心不全、白内障、糖尿病で足先の切断、閉塞性動脈硬化症、腎不全、胸水を経て10年後にうっ血性心不全で永眠しました。

 その後、祖母が脳梗塞となり、介護生活6年目を送っているところです。祖母と同居している私の両親の介護生活は壮絶なものです。病気になるとか誰かのお世話にならなくてはなりません。自分自身だけの問題ではないのです。

 国や市町村の財政が、医療費や介護費に圧迫され財政難に陥っています。だからといって、どの行政も削減するわけにはいきません。

 

 一人ひとりが健康になり、生産人口を増やすことです。それが誰とも対立しない建設的な提案です。日本の最重要課題はここにあります。

 

・本書で提案した「あたため睡眠」を実践していただくことで健康問題以外への波及効果も生まれます。睡眠障害による交通事故や消失の件数を減らすことができるのでしょう。子宝にも貢献し、子どもは学力が向上します。脳が明晰になり、能力も向上します。「睡眠の質を高める」「自律神経が整う」ということはそういうことです。

 

・人によって寿命が違う理由は、「寿命=実年齢」ではないのです。日本人の死亡原因を分析した結果、血管年齢の老い具合によって寿命が決まるのがわかっています。寿命は血管年齢と関係しています。私たちの健康法を実践している人は、みなさん血管から若返ります。

 本書に書かれている内容は、今日からすぐに実践できます。本書を読まれた皆さまは、ぜひ死亡原因4.2%の中に入ってください。そして、4.2%の割合を増やすことができれば、日本には明るい未来が待っています。

 

 

 

『歩く人。』 長生きするには理由がある

土井龍雄、佐藤真治、大西一平  創英社/三省堂書店   2013/6/20

 

 

 

<健康に長生きする人>

正しく歩きつづけることで、いつまでも健やかに暮らせます。歩くことは、健康増進や生活習慣病予防に役だちます。

 

歩くことの大切さを科学的に検証する

データが示した「よく歩く人は長生きする」

・私が積極的にみなさんに、歩くことをすすめるようになったのは、ある論文との出会いがきっかけでした。

 それは、私の恩師(矢野勝彦先生)が関わった論文で、ハワイに移住した日系人707人を対象に12年間、彼らの健康状態を調査したものでした。驚くことに、日ごろからよく歩いている人と、あまり歩いていない人の死亡率に、なんと倍以上の差が出ていたのがわかったのです。

 1日に歩く距離が、1マイル(約1.6キロ)未満とほとんど歩かない人と、12マイル歩く人、28マイルと比較的よく歩く人の3タイプに分けて、12年間追い続けて調査した結果が表1です。

 2年目を過ぎるあたりから、ほとんど歩かない人の死亡率は高くなり、4年目を過ぎると、よく歩いている人の死亡率が明らかに低くなっていることがわかります。

 

1マイルを歩くのに20分かかると考えると、1日に20分以下しか歩いていない人の死亡率は、6年目で約18%、12年目で約43%でした。一方、1日に40分以上歩いている人は、6年目で約9%、12年目で約21%と、あまり歩いていない人とは2倍以上の差があることがわかったのです。この結果は、歩くこと以外の因子を加味しても同じだったと述べられています。

 

・論文では、死亡率に大きな差が出た要因として、よく歩いている人は動脈硬化の進行が抑制されていたことを指摘しています。動脈硬化の進行が抑えられると、心筋梗塞や脳卒中などの慢性疾患である生活習慣病が予防できます。その結果、死亡率が低く抑えられたのです。

 

動脈を鍛えて動脈硬化の進行を抑制する

・私は、心臓病や糖尿病の運動療法に長くたずさわっています。この経験から確証を得たことは、“運動は動脈硬化の進行を抑制し、生活習慣病を予防できる”ということです。

そしてそこには、3つのメカニズムが働いています。

 ひとつは、「動脈そのものに対する効果」、それから「筋肉に対する効果」、そして「自律神経に対する効果」です。

 ひとつずつ説明しましょう。まず、「動脈そのものに対する効果」です。

 もともと運動が動脈硬化の危険因子(糖尿病、高血圧、肥満等)を改善することは知られていました。最近になって、これらに加え、血管内皮細胞に対する効果が注目されています。

 

・動脈硬化の進み方にはいくつかのパターンがありますが、いずれの場合もファーストステップは血管内皮細胞の機能の障害です。すなわち、血管内皮細胞の障害を抑え、その機能を保持することができれば、動脈を動脈硬化から守ることができるのです。

 血管内皮細胞の機能を鍛え、保持するのに効果的だといわれているのが、歩くこと、運動することです。

 その理由を、具体的に説明しましょう。

 運動をすると血流が盛んになります。この血流の変化により、血液が血管をこする物理的な力が働きます。この力を「ズリ応力」というのですが、この「ズリ応力」が血管内皮細胞を刺激し、その機能を鍛えるのです。

 

・若いうちは、血管内皮細胞の機能は運動をしなくても保たれています。歳をとるごとにどんどん機能は低下していきますが、定期的に運動をすることにより、血管内皮細胞の機能は若者と同等に保たれます。歩くことで、血管内皮機能が若者並みに保たれるというのは、とても魅力的ですよね。

 

・この「ズリ応力」、血管内皮細胞を鍛える以外にも、別のメカニズムを介して動脈硬化を改善します。

 血管内皮細胞の機能が弱まると、血管内に脂の侵出を許してしまいます。血管内に入った脂はプラークという炎症を伴う固まりになり、これが破たんすると血栓が生じます。心筋梗塞や脳梗塞は、この血栓によって動脈が詰まることが原因です。

 

・実は、運動によって生じる「ズリ応力」は、この血管内のプラークを小さくすることも期待されています。ある糖尿病患者さんは、ほぼ毎日4キロメートル歩くことで、プラークを小さくすることができました。同様の効果は、心筋梗塞後の患者さんでも観察されています。

「ズリ応力」は、血管内皮細胞を鍛えるだけでなく、血管内の脂の掃除もしてくれる頼もしい味方です。

 

<ミトコンドリアを活性化させ糖尿病を予防する>

・次は「筋肉に対する効果」です。

 ご存知のように、運動は筋肉の形態や機能にさまざまな作用を及ぼしますが、ここでは筋肉細胞内に存在するミトコンドリアに対する効果について解説します。

 ミトコンドリアというのは、われわれの身体の60兆の細胞一つひとつすべてに存在している小器官で、発電工場のような働きをしています。そして特に、筋肉細胞内には多く存在します。

 われわれは酸素を取り入れて、脂肪や糖質からエネルギーを得るのですが、そのエネルギーを生みだす役割を果たしているのがミトコンドリアです。生命活動を維持するのに、なくてはならない存在です。

 このエネルギーを生みだす発電機能がしっかり働けば、充分な活力が生み出されますが、機能の働きが悪くなると、さまざまな弊害が生じます。

 

・例えば、ミトコンドリアの機能が低下すると、エネルギーの素となる脂肪が消費されにくくなります。

 消費されない脂肪は行き場を失い、筋肉の中に留まりはじめます。脂肪が蓄積されてくると、筋肉は本来の機能である、糖質を蓄えるという機能が鈍くなってきます。

 すると、筋肉に取り込まれなかった糖質が血液中に長くとどまることになり、それが高血糖、ひいては糖尿病の原因となります。

 

このようなエネルギーの流れの停滞が起こらないように、ミトコンドリアの機能を高めるにはどうしたらいいのでしょう。実はこれも、歩くことや運動することが有効なのです。

 より効果的にミトコンドリア機能を高める運動の方法(歩き方)についても研究が進んでいます。

 なかでも、強い運動と弱い運動を交互に繰り返す、インターバルトレーニングは、有力な候補です。研究成果がまとまるのは、しばらく先ですが、ブラブラ歩くのではなく、ゆっくり歩いたり早足で歩いたり、高低差のあるところを歩いたりすることは、試してみる価値があると思います。

 

<歩くことで自律神経のバランスも整う>

・そして3つ目は「自律神経に対する効果」です。

 自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立っています。自律神経はこのバランスをとることが大切だといわれていますが、歩くこと、運動することによってバランスが整えられます。

 

・イライラが続いたり、ストレスを強く感じたりすると、交感神経が優位な状態になります。適度に運動をしてリラックスした状態になると、副交感神経が優位にシフトします。副交感神経が優位になると、心拍はゆっくりとなり、心拍数が減ると、心臓にかかる負担も減ります。

 哺乳類は、どの動物も一生涯に打てる心拍数は20億回という説があります。副交感神経が高くなり、心拍数が下がると、長寿に繋がるかもしれませんね。

 

・また、われわれの心拍というのは一定の秩序をもってゆらいでいます。心臓は、安静時「ドキン・ドキン・ドキン」と一定に打っているようですが、厳密には早くなったり遅くなったり、規則性をもってゆらいでいるのです。

 この心拍のゆらぎは、副交感神経が優位な人ほど大きくなっており、交感神経が優位な人では小さくなっています。

 

・心拍のゆらぎは、よく運動している人は大きく、あまり運動していない人は小さいのですが、ゆらぎが大きいほうが長生きできることもわかっています。

 自律神経は免疫にも関わっています。副交感神経が高ければ、免疫力が増すことはよく知られていることです。

 太っている人は、自律神経のバランスが悪いことが指摘されています。メタボ傾向にある人は、エネルギー消費のためだけでなく、自律神経のバランスを整えるために歩くこと、運動することも意識してほしいですね。

 

<認知症の予防にも期待>

・冒頭で紹介した、ハワイに移住した日系人を調査し続けた同じグループが、同じ対象で認知症を追跡したデータが、近年報告されました。これをみると、よく歩くことが、認知症の予防にもなることがわかります。

 脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症をあわせた認知症全体では、0.25マイルとあまり歩いていないお年寄りよりも、2マイル歩いている人のほうが、約2倍リスクが低いことが示されています。興味深いことに、その傾向はアルツハイマー型認知症において顕著でした。データからわかるのは、よく歩いている人は、歩いていない人よりも、2.24倍アルツハイマー型認知症のリスクが少ないということです。

 

・日本人にはこれまで、脳血管性認知症が多かったのですが、今後、アルツハイマー型認知症が増えるとの予想もあります。

 アルツハイマー型認知症になってしまうメカニズムも、最近やっと輪郭がつかめはじめていますが、予防することを考えると、歩くことの大切さが注目されることは間違いありません。

 

<身体に負担のかからない歩き方を身につけよう>

歩くことの効能がいかに多くあるかを、運動療法の専門の立場から述べてきました。ただ最後にお伝えしたように、人それぞれ体力や状況が異なりますので、くれぐれも無理をしないで、歩いてほしいと思います。ずっと歩き続けることで、みなさんが健康になり、長生きをしてほしいと心から願っています。

 

 

 

100歳までの健康の知恵』  賢い生活と食

 中村雅美   日本経済新聞出版社    2013/5/23

 

 

 

<世界一の長寿国>

野菜や魚を中心にした低脂肪食

・日本人の平均寿命は80.9歳(1998年)で世界一の長寿国である。しかし、単に長命というだけでは十分ではない。たとえば、寝たきりでではない、社会活動ができる寿命がどれだけあるかが大切だ。

 

・日本が健康寿命で世界一である背景としては、衛生教育の普及や生活環境の改善など多くのことが挙げられる。中でも大きいのは食生活だ。野菜や魚を中心にした低脂肪食が健康につながったといってもよい。

 

・3つのことを頭に置けば健康を増進することは可能だろう。3つとは休養、栄養、美養(美容ではない)である。

  休養は、単に「ぐーたら」を決め込むことではない。きちんと運動をすることだ。それも散歩など軽い運動でよい、続けることが大切なのである。栄養は、バランスのよい食事を規則正しく取ることだ。

  それに加えて美養を挙げたい。美は美しさと同時に清潔さもあらわす。美しくなることに気を使い、身の回りの清潔さに配慮すれば健康の維持・増進にもつながり、生活も充実する。

 

 <ジャンクフードに要注意>

・『40代から始める100歳までボケない習慣』(朝日新聞)の中で同意できるのは、第2章にある「ジャンクフードは危険」の項だ。ジャンクフードは体を痛めつけると指摘している。それだけでなく、ジャンクフードをやめられない人の脳の中はドラッグ中毒者と同じ状態だとまで言い切っている。

 

・米国はいろいろな意味でお手本としてよい国のひとつである。ただ、私は「日本として、絶対に米国のまねをしてはいけないものが2つある」と思っている。ひとつは医療保険制度であり、もう1つは食生活(食事)である。公的医療保険制度が近くスタートするとはいえ、医療保健制度は民間主体であり、また料理もバラエティに富んでいない。食生活は健康の基本だが米国は食生活が非常に貧しい。国民はさまざまなジャンクフードに取り囲まれている。そのためか、健康を害している人の割合が高く、平均寿命も先進国の中では短い部類に入る。

 

 <「歩く」が運動の基本>

・食事と並んで気をつけたい健康のキーワードは、「運動」である。といっても、「今さら運動などやる気にならない」という人は多いかもしれない。

  かつて、「まなじりを決して運動をする必要性はない」と書いたことがある。生活上のちょっとした工夫が運動になりうるからだ。加齢研究の第一人者である順天堂大学の白澤卓二教授の著書『40代から始める100歳までボケない習慣』(朝日新書)にも、こう書いてある。

 「まずは『なるべく歩く』を心がける」

 

 <肥満防止、食事回数より量>

・「医食同源」という言葉がある。日本で生まれたとされるこの言葉は、健康の基本は「食」にあることをうまく言い表している。

 

・ほとんどの生活習慣病は肥満がきっかけになっており、症状を悪化させる要因にもなっている。肥満を防ぐには、「食事は1日に3回を規則正しく取り腹8分目を目安にする」ことがよいとされる。最近、寝坊のせいなのか、ダイエットのためなのか、朝食を抜いて出勤したり登校したりする人が増えているようだ。

 

 <健康維持、まずは生活習慣>

・健康を維持することは、バランスのよい食生活と適度な運動、十分な睡眠でかなり達成できる。要するに、ごく当たり前の生活習慣の改善で済むことなのだ。特定の健康食品ばかりを取り続ける必要性はほとんど感じない。

 「これを実行すれば、病気や痛みなどがみるみるうちになくなる」。こうした奇をてらった健康法とは、そろそろおさらばしたいものだ。

 

 <糖尿病の予防、血糖値に配慮>

・糖尿病は今や「国民病」といわれる。2007年版「国民健康・栄養調査」によると、国内の患者は推定で約890万人、予備軍も1320万人いる。合わせると2210万人で、日本人の5人に1人は糖尿病か、その予備軍となる。

  患者が増えているのは日本だけではない。国際糖尿病連合によると、11年に36600万人いた世界の糖尿病患者は、30年に約5億人、場合によっては約10億人になると見られている。

 

・糖尿病には1型と2型がある。いずれも血糖を分解するインスリンが分泌されなかったり、働きが悪くなったりするために起こる。1型糖尿病の人は、インスリンを作る膵臓の細胞が自己免疫疾患などで破壊されることで発症する。若者によく見られる。

  2型は生活習慣病といわれ、食生活の乱れや運動不足などが原因とされる。人種による差があるが、日本では圧倒的に2型が多い。

 

 <カフェインで抗ウイルス>

・コーヒーと健康について考えてみよう。コーヒーにはカフェインが多く含まれている。このカフェインに、ある種のウイルス(JCウイルス)の増殖を抑える効果が期待できるという。

 

 <コーヒーに脳卒中予防効果?>

・コーヒーと脳卒中の関係を調べた論文は少なく、はっきりしたエビデンス(科学的証拠)があるわけではない。ただ、コーヒーを飲む習慣のある人は、脳卒中のリスクが下がるという報告がある。  

たとえば、スウェーデンでの調査では、コーヒーを毎日1杯飲んでいる女性は飲まない人よりも脳卒中になるリスクが25%低いという結果になった。

 

・「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」というように、コーヒーや緑茶に脳卒中の予防効果があるらしいというだけで、がぶ飲みするのは避けたい。脳卒中リスクを下げるのはカフェインの働きによるものと見られるが、このカフェインをたくさん取ると、思わぬ「副作用」が出るからだ。

 

 <「カフェイン中毒」要注意>

・1日にコーヒーを100杯以上飲まない限り、何ら問題はないといえる。

 

・大きな副作用としては、「カフェイン中毒」がある。個人差はあるが、コーヒーから離れられなくなったら要注意だろう。顔面紅潮になりやすく、落ち着かなくなり、集中力の低下やけいれんを起こしやすくなる。悪くすると動悸や不整脈につながる。

 やはり、コーヒーは「体によいから」といって一度に大量に取るのは避けたい。カフェインを含んでいるとはいえ、コーヒーは医師や薬剤師が扱う医薬品ではなく、素人が誰でも簡単に口にすることができる食品なのだから……薬は「もろ刃の剣」で、作用があれば副作用もある。ほどほどにというわけだ。

 

 <ポリフェノールの合理性>

・「フレンチパラドクス」という言葉がある。フランスの逆説という意味だ。1990年代の初めごろから世界中で広まった。

 フランス料理は肉料理が主体だが、それにクリームやバターがたっぷり入ったソースをかける。食べ物に動物性の脂肪が多いから、当然フランスの人たちは動脈硬化になり、心筋梗塞など心臓・血管系の病気が多いと予想される。

 ところがフランス人が心臓病で死亡する割合はほかの西欧諸国に比べて少ないといわれている。脂肪分が多い食事を取っているにもかかわらず、心臓病の死亡率が低いというのが、フレンチパラドックスの由来である。

 

・パラドックスの理由としていわれるのが、赤ワインに多く含まれるポリフェノールだ。実際、フランスの人たちは赤ワインを多く摂取する。これで日本でも赤ワインブームが起きた。ただ、赤ワインを多く飲むことによる肝臓病の増加といったマイナス面もある。

 

・ポリフェノールには抗酸化作用がある。植物(食物)に含まれる抗酸化物質としてはビタミンCやビタミンEなどが有名だがポリフェノールもその1つ。フラボノイド、クマリン、ヒドロキシケイ皮酸の代表的なものとしては、コーヒーポリフェノールがある。

 

・体の中では活性酸素ができる。活性酸素は細胞にダメージを与え、シミやしわを作るなど皮への悪影響のほか、老化や動脈硬化、糖尿病、がんなどの引き金になるといわれる。活性酸素は常にできているが、普通はカタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼといった酵素や、植物由来の抗酸化物質が生成した活性酸素を消している。

 

・酵素がよく作られ、食事などから植物由来の抗酸化物質を摂取できる若いうちはいい。それが高齢者になると・・・。ポリフェノールを取ることは、ある意味では合理的なのかもしれない。

 

・日本人が飲料から取るポリフェノールとしてはコーヒーの47%が最も多かった(緑茶は16%で第2位)

 

 <睡眠時間足りない日本人>

・ひとりでパソコンに向かって黙々と仕事をするのが日本のビジネスパーソンの姿なのだろう。このワーキングスタイルが日本人の睡眠の質の低下や、慢性的な睡眠不足状態を招いているのだろうか。

 

 <たばこを「断つ年」に>

 <禁煙で脳も長生き>

 

 

 

『逆転の発想で悪の罠を見抜き人生の悩みを裁つ』 弁護士50年の法力

松枝迪夫    アドスリー   2010/7

 

 

 

<私の健康長寿法十則>

・私の健康長寿法を十ヶ条にまとめてみた。便宜的に私の健康長寿法十則と名づける。古来多くの実践者、研究者が唱えていたものをいわば現代の着想法をもって然るべき順序をつけてわかり易くまとめたものである。重要点はすべて網羅した。

 

 またこの何々が少なく、何々が多くという表現は、貝原益軒の用語やたまたま愛用している湯呑茶碗に健康長寿法として書かれていた用語を借用した。

 どうかこの十則は、東西の大家の養生法をいい塩梅に整理したものです。まず箇条書きにし、その後で解説する。

 

一則 食を少なく 噛むことを多く

二則 肉を少なく 野菜を多く

三則 塩・甘糖を少なく 酢・果実を多く

四則 欲を少なく 施しを多く

五則 憂い悩みを少なく 眠りを多く

六則 怒りを少なく 笑いを多く

七則 言葉を少なく 行いを多く

八則 乗物を少なく 歩みを多く

九則 衣を少なく 入浴を多く

十則 エアコンを少なく 風と太陽を多く

 

<十則の解説>

<一則 食を少なく 噛むことを多く>

・これは腹八分目にすること、食生活の最も重要な原則を宣言。かむことは消化にもいいし、八分目でも満腹感をもたらす。噛まないでいい柔らかい食品が増えたので噛むことが減ってきた。そのため頬がふっくらせず、やせた顔付の人間が多くなってきた。

 

<二則 肉を少なく 野菜を多く

・最近の洋風化の食事の欠陥は、肉が多いことにあるから、もともと日本人が好んできた魚を中心として野菜、大豆を原料とする豆腐を多用するのがよい。

 

<三則 塩・甘糖を少なく 酢・果実を多く

・塩の多用は色々の病気を引き起こすとされているので注意すべきであるが、大変神経質になって塩分を少なくし過ぎる傾向がある。これも過ぎたるは及ばざるが如しで、子どもがそのため元気を失ったり、労働者が力をなくしたりするので、ほどほどにする。病気だと思って医者に見せたら、その先生はベテランの名医で一目で病気でない、塩分不足と見破って塩を与えて間もなく快癒したという。未熟な医者だったら、すぐ注射とわけのわからない投薬をしただろう。

 糖分はこれまたとり過ぎは病気のもとであるが、運動をしたり、頭を使って疲れた感じのときは速効性があり大切な栄養である。

 

<四則 欲を少なく 施しを多く>

・精神の平静が一番大切なことである。そのためには欲望を少なくし、欲を抑えることである。食と色の欲望は本能であるから、これを抑えるのは難しいことであるが、それをすることが修養である。本能のままに振り回される人生を送っては身の破滅、仕事でも成功は覚束ない。反社会的な欲望はもちろん抑えなければならない。むしろ他者に対する愛、慈悲の心をもって行為することが大切である。その善行は、本人にも気持ちのよいもので、まして他人から感謝されたりすれば嬉しいし、後に満足感が残る。

 

<五則 憂い悩みを少なく 眠りを多く>

・人は色々なことを憂い悩み、夜も眠れないということが多い。現代人はあまりにも多くのストレスに悩まされ、心の苦しみを抱えている。これをできるだけ少なくし、明日のことは思いわずらわないでいること、過去のことをくよくよ後悔しないことである。杉田玄白も、明日を思い悩むな、後悔するなと言っている。

 すべての精神の健康法を説く説はこの項を最重要な手段と見なしている。心を平静に保つ最も大切な心持ちである。

 

<六則 怒りを少なく 笑いを多く>

・これもすべての精神の修養を説く人が一致してあげている実践上最も大切な処世術である。怒りのために人は他人を傷つけ、ついには己の身の破滅に至った例は枚挙にいとまがない。この修養こそ不断に若い頃から積まなければならない。

 

・笑いを多くとは、人生を楽天的に、前向きに生きることでこれは人間の生き方として成功に導く鍵である。前途を暗く、悲観的に考えるのはよくない。外国でも「プラス思考をせよ」というのはこのことである。笑う門には福来るともいうし、夫婦円満、家庭円満、その人の職場も明るく円満という、すべてに喜びと福の感情をもたらす。

 

<七則 言葉を少なく 行いを多く

・これは寡言の徳をいうもので、不言実行の系譜にある。昔から「沈黙は金」という諺がある。もっとも欧米流の自己主張の風潮が入り、どんどん発言し、何でもしゃべるのがいいのだといわんばかりの時代になりつつある。程度問題である。

 無言では処世ができないから、要は冗舌をやめ、行動で示すということである。言葉遣いは社交では大切な武器で、軽々しい発言はせず、言行一致が望ましい。

 

行いを多くとは、日常の暮らしで、身軽に身体を動かすことをいやがらないで、こまめに動くことである。これは大切なことで、相手にもいい印象を与え、尊大な人間だと思われないし、不精な人間と思われない利点がある。

 またこまめに身体を動かすのは健康にもいい。老人になってゴロンとしていると健康に悪く老化してぼけも早くくるという。

 女性が家事をやるのはこまめに動く典型だから、男性に比べて長生きである。いい報酬が与えられていて帳尻が合っている。

 

<八則 乗物を少なく 歩みを多く>

・身体の運動で歩くことは一番健康によいとされている。それと散歩をすることは特別の場所も相手も器具もいらない。しかも散歩先の町や風景をみて楽しむことができるから一石二鳥だ。

 

・必然的に車の利用者は歩くことが少なくなり、運動不足となる。色々な健康障害がでてくるなかで、ほとんど歩くことで直った例が多いし、その副作用で悪くなったという例はまずない。

 

<九則 衣を少なく 入浴を多く>

・皮膚の鍛錬には薄着がいい。

 

・私は一年中下着は木綿のシャツにステテコ一枚で通している。ニューヨークの冬もそれで、通し、その上にはワイシャツと薄手の背広だけである。慣れれば何でもなかった。

 

・身体を清潔にすること、皮膚をきれいにすることは新陳代謝によい。入浴はバスタブでもシャワーでもよい。

 

<十則 エアコンを少なく 風と太陽を多く>

・自然の大気と気温で暮らすのがその住民には一番健康的である。最近は暖房、冷房をする人が普通になった。

 

・お蔭で昔の日本人は、皆風もひかず元気だったのではないかと思う。

 

・北欧やドイツなど北部欧州の人は寒い冬が過ぎるのを待って公園で裸になって日光浴をしている。くる病になるのを防ぐには日光が必要なのである。日本人はあまりにも太陽に恵まれているので、その有り難さを知らない。

 

 

 

『病気にならない人の「考え方」』

「治す」から「守る」へー“予防医療”という選択

折茂肇  池森賢二     ダイヤモンド社  2013/2/16

 

 

 

<「100歳までの健康長寿」の人々の知恵に学ぶ>

・最近の日本では100歳を超えて長生きする人の数が急速に増えていて1963年には、その数がわずか153人にしかすぎなかったのが、2012年には5万人に増加しています。健康長寿の皆さんに日常生活の知恵を学ぶというのも予防医療の一つでしょう。

 

<老化は「未病」の一つである!>

・西洋医学の世界には「健康」か「病気」かという区分、つまり白か黒かの区分しかなく、通常は病気になって初めて医師の世話になります。

しかし、高齢者を診断していますと、健康か病気かをはっきり分けるのが難しいことがしばしばあります。白(健康)ともいえず、黒(病気)ともいえぬ、その中間のグレーゾーンがあるのです。

 

このグレーゾーンのことを、東洋医学では「未病」と呼んでいます。つまり、東洋医学の世界では健康と病気の間には連続性があると考え、両者を結ぶ境界線のことを「未病」と呼んでいるのです。

 

・いわば、侵入者や反乱者を押し返したり、そのいたずらを封じ込めたりしてくれる人体防衛軍が、いつも体内でスタンバイしているということ。これが、人体に備わっている「免疫機能」です。

 

・防衛軍は好中球やマクロファージ、リンパ球といったさまざまな能力を備えた「白血球」で構成されています。

 若い頃はこの白血球の働きがとても活発なので、少々の無理はきくのですが、年を取ると全身の細胞が老化して人体防衛軍の力が衰えてくる。つまり、免疫機能が低下してきます。

 

・また、ガン細胞という体内の反乱者の脅威にもさらされます。こうした免疫力をはじめとして、人体に備わっている各種の「生体防御力」の総称をホメオスタシスと呼んでいます。

 前述したとおり、食事を取ると誰でも血糖値が上がります。しかし、上がった血糖値を下げるために脾臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖は正常値に戻ります。これがホメオスタシスの働きです。

 

<老化というのはこのホメオスタシスの機能を低下させる最大の危険因子>

・加齢とともに人体の機能には次のような変化が現れます。

心臓→血液を送り出すポンプの機能が低下する

血管→動脈硬化を引き起こしやすくなる

骨→骨密度が減少し、骨折を起こしやすくなる

関節→変形して痛みを伴い、可動域が少なくなる

筋肉→筋肉量が減り、筋力が低下する

脳・神経→脳細胞が減少するため、動作が緩慢になり、バランスも悪くなる

目→40歳を過ぎた頃から老眼が始まる

耳→聴力が低下し、老人性難聴という修復不能な病気になる人もいる

呼吸器→酸素と二酸化炭素を入れ換える換気能力が低下する

 

・病気とはいえないけれど、いつ病気になっても不思議ではない状態!

つまり、「老化」というのは、「未病」の状態にあるという言い方もできるのです。

 

<予防医療は、40代で意識しよう!>

<死の寸前まで働き、ボケる人がいない。まさにPPK(ピンピンコロリ)の大往生を遂げる>

40代は、人間ドックやサプリメントを含めた予防医療を意識すべき年代だといえます。

 

<長野県が日本有数の長寿県になったわけ>

・長野県というのはもともと内陸部の寒い土地柄で、県民の多くは典型的な塩分過多の生活をしていました。そのため、脳血管系の病気が多かったところです。

 

・ところが、県ぐるみで「予防医療」を実践したことにより、2007年には沖縄を抜いて、「男性長寿全国第一位」の県になったのです。しかも老人医療費が全国最低の47位。つまり、長野県には健康長寿の老人が多いということです。その秘密は、「健康補導員」という聞き慣れない肩書きを持つ人々の活躍にあります。

 

80歳を過ぎても元気な人が多く、「ピンピンコロリの里」として全国的に注目されている長野県佐久市

・保険補導委員会は、市内の各地区を担当する保健補導員を任命、的確な予防医療の研修を受けてもらったうえで、住民の先頭に立って、次のような予防医療を普及させたのでした。

 

・減塩運動

・一部屋暖房運動

・食生活改善運動(ピンピンコロリ食)

・体を動かす(ピンピンコロリ体操)

キーワードは「食」「運動」「癒やし」。

 

<健康長寿とPPK(ピンピンコロリ)は決して不可能ではない>

<元気な老人は肉を食べる!>

1963年には、全国でその数がわずか153人に過ぎなかった「100歳超え」の長寿者が、2012年には5万人を超えました。まさに1世紀を生き抜いてきた超エリート!

 

<「長寿の秘訣は何か?」というアンケート調査>

1位→物事にこだわらず、くよくよしない

2暴飲暴食をしない

3幸せな家庭に恵まれている

 

<長寿者の食習慣>

・腹八分目で、食べすぎないようにする

 

・完全に米にかたよるのではなく、魚介類などタンパク質も充分に取り、肉類も積極的に摂取する

 

・野菜や海草を好んで取る

 

・薄味の料理を好む

 

・規則的に食事を取る

 

<今、フィトケミカルが注目されているわけ>

・一般的に、摂取すべき食品の種類は130種類が目安だとされています。朝昼晩に少量でもいいから、できるだけ多種類の食品の摂取を心がけることです。なかでも最近注目されているのが「フィトケミカル」という成分です。フィトは植物。ケミカルは化学の意味。つまり植物が含有している化学物質のことです。付帯的には野菜や果物などの植物が紫外線や害虫から身を守るためにつくり出す物質のことで、「色」「香り」「苦味」などの基になっています。

 

・わたしたちが心がけるべきは、なるべく多くの色の野菜をいただくこと!

野菜や果物の色は「赤」「黄」「橙」「緑」「紫」「黒」「白」の七色に分類されますので、サラダをつくる場合には、できることなら「七色サラダ」を心がけるといいのではないかと思います。つまり、見かけが派手で、華やかなサラダを意識するといいということです。

 

<早歩きの人ほど死亡率が低い!>

・ここでいうスポーツとは本格的なスポーツではなく、ウォーキングやジョギング程度の軽い運動を習慣的にしているかどうかを質問しているのですが、おわかりのように特に男性では、スポーツを習慣にしていない人は早々と自立機能が低下してしまうことが明らかにされています。改めていうまでもなく、運動習慣は健康に直結しています。

 

・具体的には、各種の調査によって、運動が虚血性心疾患の死亡率を減少させ、血圧を低下させ、血清脂質を改善させて動脈硬化性疾患の予防に役立つことが明らかにされているのです。特に注目されているのがウォーキング。

 

・最近、年齢に関係なく早朝ウォーカーが増えていて、「ちょっと早起きして、出勤前に一歩き」というOLの姿も目につくようになりました。

 

ウォーキングは、散歩とは違い、普段歩く速度よりもやや速めに歩くのがコツ

・調査結果によると、速く歩く人ほど死亡率が低く、遅くなるに従って死亡率が高くなるというものです。「遅い→やや遅い→やや早い→速い」と、速くなるに従って明確に死亡率は低くなっています。

 

<早朝ウォーキングのススメ>

<朝日を浴びながら歩く!>

・サーカディアン・リズム(概日リズム)の法則とは、人体にはいわゆる「体内時計」が備わっていて、それが24時間のリズムで変動しているというもの。

 

・晴耕雨読。朝日とともに起きて、暗くなれば寝る。大自然の中で、そもそもそんな生き方ができたなら、健康長寿が約束されるのではないでしょうか?ところが、現実がそれを許しません。

 

<西から東に、東から西に向かって歩く>

・西から東、東から西。これは、太陽の軌道に沿った歩き方です。つまり、サーカディアン・リズム(概日リズム)の法則に従った理想的なウォーキング・コースだといえるでしょう。

 

最低でも20分間は歩く

・理想をいえば最低でも20分。トータルで40分程度は歩いていただきたいと思います。

 

<胸を張り、手を前後に振って、やや大股で、いつもより速足で歩く>

・あくまでもマイペースで歩く。無理をすると、三日坊主で終わってしまいます。

 

 

 

100歳』

日野原重明   NHK取材班  NHK出版 2011/9/27

 

 

 

99歳の健康診断>

2011119日、ライフ・プラニング・クリニックにて、99歳の日野原先生の健康診断が行われた。

 

・日野原先生は、通常の健康診断に加え、体力測定や認知症の検査、生活状況についてのアンケートなども含めたさまざまな検査を受けた。

 

・医師というのは聴診器を使う仕事だから、やはり聴力も大切です。聴力検査では計ってくれた担当者が、その場で「30代と変わりませんね」とほめてくれました。

 

・今日行った検査は、加齢とともに体力が低下する勾配を診るためのものです。一般的には、身長が縮む、肺の機能が落ちる、肝臓の働きが落ちる、大脳の働きが落ちるなど、すべてにおいて下降カーブをたどることがわかっています。

 

・まず、先生は大きな病気をお持ちでありませんし、血液検査でも特別な問題は見つかりませんでした。気になるところは、血圧が少し高いというところでしょうか。ただ、今回は降圧剤を飲まれていますので、上が107、下が56ということでしたし、よくコントロールされていて脈波速度も正常ですので、健康状態は極めて良好だと判断できます。

 

・脆弱化の5つの指標では、体重の減少、握力の低下、歩行速度の低下、日常生活の活動低下、そして気力の低下を評価します。これらがすべてなければ脆弱化なし、3つ以上あれば脆弱化、12であれば中間と判定します。

 

・しかし、細かい点では下肢の蹴る力と歩行速度がやや落ちてきていること、そして眼をつぶった際のバランスが不安定であるという変化が見られますので、つまずいて転ぶなどの危険性もあります。くれぐれも足下に気をつけていただきたいと思います。よく歩くことはもちろん重要ですが、足首に軽いおもりをつけて、仰臥位(あおむけの姿勢)で下肢を持ち上げるなどの簡単なトレーニングも試みる価値はあると思います。脆弱化が進行しますと元へ戻すことは難しくなりますので、予防的にトレーニングされておられることは大変よいことだと思います。

 

<ヘルス・リサーチ・ボランティア>

・とにかく今、高齢者の医学的なデータが不足しています。75歳以上の食事のカロリーはどれくらいが適切かさえエビデンス(検証結果)となるデータはありません。現在のところ、85歳でも90歳でも、75歳のデータを使うしかないのです。長生きをする人が増えていますから、ぜひ調査していかなければなりません。

 

・私が解明したいのは、「老い」の本当の姿です。認知症にならず、社会生活を送る限界がどこにあるのかを調べたい。現在、遺伝子の働きが大きいということはわかっていますが、認知症の遺伝子を持っていても認知症にならない人もいるのです。例えば、認知症の発症因子の遺伝子を持っているにもかかわらず、認知症を発症していない方がいれば、発症を抑える外的な環境因子があるのではないかと仮定することができま

す。聞き取り調査から、それが食事か、運動か、社会活動か、趣味かを分析し、特定していきます。

 

・一人一人がどういう環境で過ごしているかということはこれまで調査されたことがありません。ボランティアの仕事をする、勉強をする、今までやったことがないことをする、新しい人と出会う。日々の暮らし方や活動も含めて環境因子といいますが、それらによって老化を遅らせることができるという結果が実証されれば、みなさんが目標を持って生きることができるようになるでしょう。

 

99歳からのトレーニング>

20113月以来、月に4回くらいのペースで自宅に経験豊富なトレーナを呼び、ストレッチや簡単なトレーニングを行うようになった。次男の妻、眞紀さんの勧めだった。トレーナーの吉沢剛さんは、「日野原先生は、99歳の体としては、本当にスペシャルな体だと思います」と驚く。

 

日野原さんは我々が持っている百歳のイメージを吹っ飛ばしてくれた人物である。今も現役の医師であり、本を次々と執筆し、講演も年間、100回を超える。海外にも頻繁に出張するし、記憶力は抜群にいいし、ステーキも食べるし、好奇心は若者以上。いちいち驚いていたらきりがない。百歳にしてなぜ、このように生きることが可能なのか?この疑問に迫るべく取材を始めたのが201010月、日野原さんの99歳の誕生日パーティだった。そこでの驚きの言葉、「不思議と、老いるという感覚がない」。

 

・そして、以来1年間にわたり密着取材を行い、さまざまな場面で比野原さんやご親族、関係者などに話をお聞きしてきた。そのインタビューをもとに構成したのがこの本である。

 

 

 

60歳からはじめる

『認知症にならない脳にいいこと』 

周東 寛  コスモ21     2012/12/5

 

 

 

<これが脳を元気にする食生活の基本>

糖・塩・油・酒の摂りすぎは認知症リスクを高める

・アルツハイマー型認知症の原因物質として、近年「アミロイドβタンパク」が注目されています。アミロイドβタンパクは、加齢とともに脳にたまってくる「ゴミタンパク」の一種です。

 

・ところが、このアミロイドβタンパクを掃除する能力が加齢とともに衰えてきて、掃除しきれなかったものがしだいに脳内にたまっていきます。それがあるところまでくると脳の機能に障害がでてきて、認知症になるといわれます。

 

私の考えでは、糖・塩・油・酒の摂りすぎると、体の細胞がしだいに糖化・塩化・油化・酒化されていきます。この状態になると細胞からは水分が抜けていき、細胞の代謝機能にも障害が起こります。その結果起こる現象の一つがさまざまなゴミタンパクが体内にたまることです。

 

・ゴミタンパクは「ラクナ梗塞」という小さい脳梗塞の原因にもなります。

心筋の血管にゴミタンパクがたまって血栓になると、心筋梗塞が発症するリスクが高くなります。

 脳内の血管にゴミタンパクがたまって血栓になると、脳梗塞や脳内出血のリスクが高まり、脳血管性認知症になる可能性も出てきます。

 

・ですから、糖・塩・油・酒の摂りすぎに気をつけることは、生活習慣病はもちろん、認知症の予防のためにもぜひ実行してほしいのです。

 

<認知症予防には青魚がいい>

・認知症予防に有効な食事の基本は、一言でいうと「魚と緑黄野菜を多く摂る」ことです。なかでも魚に含まれているDHAEPAは動脈硬化を予防し、血栓を防ぐ働きのある脂肪酸で、とくに脳によい効果をもたらします。

 

<血液サラサラ食品を摂る>

・豆乳、豆腐、おから、納豆、味噌などの大豆製品には、抗酸化作用がある大豆サポニンが多く含まれています。大豆サポニンには、コレステロールを低下させ、高血圧、動脈硬化、ガンを予防する作用があります。

 さらに大豆製品には多くの大豆レシチンも含まれています。大豆レシチンには、脂質代謝を高める働きがあり、肥満を改善させる効果があります。もちろん、こうした働きは認知症予防にもつながります。

 

・さらに脳の血液をサラサラにするものを加えた食事を摂れば、もっと効果的です。それが期待できる食物としては、キャベツ、タマネギ、らっきょう、にんにく、長ネギ、ニラなどがあります。キャベツ、長ネギ、ニラは便秘解消にもよいので、毎日食べるようにすすめています。

 

緑黄野菜は認知症予防になる

・ビタミン類は、ヒトが体内でつくることはできませんから、総合ビタミン剤を飲むか、緑黄野菜をしっかりと食べるしかありません。

 

<とくにビタミンBCE群が認知症予防に有効>

・緑黄野菜にはビタミン類が多く含まれていますが、とくにビタミンB群、ビタミンC群、ビタミンE群には脳の老化を防ぐ作用があります。もちろん認知症の予防にも有効です。

 

<カルシウムをしっかり摂る>

・なかでもとくに大切なミネラルが、カルシウムとマグネシウムです。体内にあるカルシウムの99%くらいは骨と歯に含まれますが、残り1%がとても重要なのです。

 もし、その1%のカルシウムが不足すると、骨のカルシウムが血液や筋肉に放出されます。その分カルシウムが減って、骨がスカスカになり、もろくなります。この状態が進んだのが骨粗鬆症です。

 

<認知症予防には肥満も気をつけよう>

・高血圧、動脈硬化、脂質異常性、糖尿病などの生活習慣病は認知症を呼び寄せます。それらは肥満とも関係しているので、認知症予防には肥満対策も必要です。

 

<認知症予防には一切飲まないにかぎる>

・アルコール依存症の人に高い割合で脳萎縮がみられることは、よく知られています。大量にお酒を飲む人に認知症患者さんが多いことも、地域や集団を調査した疫学調査によって明らかになっています。

 

タバコにより認知症の発症率は2倍以上に

・タバコに含まれる有害物質は数百種類といわれます。

 

・タバコを吸うほど脳の委縮進む。アルツハイマー型認知症に共通しているのは脳の委縮。

 

<受動喫煙も認知症の高リスク>

<認知症で失われるのは記憶だけではない>

<日本社会全体で10人に1人が認知症に>

<脳血管性認知症の予防は生活習慣病の危険因子除去から>

<脳は「怠け者」>

・筋肉は、まったく使わないでいると、1日に3%から5%ずつ低下していくといわれています。  

 

 お年寄りが1カ月も寝たきりの生活を送ると、ほとんどの方が歩けなくなるのも、それだけ筋肉が痩せて減ってしまうからです。寝たきりになると、筋肉のほかにも、骨や関節、皮膚、さらには心臓や肺臓などの内臓機能も低下します。

 

・しかし、いわゆる元気なままで「ピンピンコロリ」と亡くなる人は、おそらく10人に1人もいないでしょう。

 ほとんどの人がどこかで必ず寝たきり状態になるとか、認知症になって死を迎えているのです。とくに認知症は、今後日本社会全体で10人に1人の割合で発症するともいわれています。

 

 

 

『超高齢社会の未来 IT立国 日本の挑戦』

小尾敏夫・岩崎尚子   毎日新聞社   2014/12/27

 

 

 

<人類が経験したことのない少子・超高齢・人口減少社会>

・少子・超高齢・人口減少社会である日本は、いまだかつて世界が経験したことのない未知の世界が広がっている。日本では65歳以上の高齢者人口は過去最高の25%を超え、4人に1人が高齢者になった。増え続ける高齢者の質は大きく変わっている。8割は元気な高齢者と言われるアクティブ・シニアだ。

 

2030年には約8割の高齢者が介護不要で自律的に暮らせるようだ。

 

高齢社会が進む一方、今後日本の総人口は長期にわたって減少し、2060年には約8600万人にまで減少すると推測される。

 

・未曽有の人口構造の変化は、2025年がターニングポイントとなる。戦後の象徴とされる1947年~49年生まれの団塊の世代75歳以上になる年だ。

 

・世界に目を転じれば、高齢化率は世界規模で上昇しつつある。2060年意は世界人口の約5人に1人が高齢者になる。

 

日本は2007年に国連で定められた世界初の“超高齢社会”に突入

<国家財政破綻危機の2025年問題>

・高齢者の約8割は就業意欲があるのに、そのうちの2割しか仕事に就けない厳しい現状である。

 

・介護の面を考えると、厚生労働省の試算で、2025年に50万人の看護師、46万人の医師、100万人の介護職員が必要といわれている。

 

<高齢化と情報化が同時進行する新複合社会時代の幕開け>

・1980年代のICT革命以降、ICTは人々の生活に密接に浸透してきた。近年ICTは、財政悪化や労働人口の減少、地方の疲弊、企業統治などの成長の制約条件の社会課題を解決するためのツールとしてその地位を確立している。

 

・世界で唯一の超高齢社会に突入した日本の情報社会の将来は、ユーザー(消費者)がいかにICTを駆使し、供給側はいかにICTでネットワーク化された社会を構築し、ユーザーに優しいより豊かな情報社会を形成することができるかが課題となる。

 

65歳以上のインターネット利用状況は、平成20年末から23年末で約1.6倍と年々増加傾向にある。

 

・また高齢者にとってオンライン・ショッピングも当たり前のものになり、行政手続きも役所に行っていたものが一部、自宅でオンライン申請ができるようになった。電子政府サービスの普及である。今後は、ICTサービスや商品が無用の長物とならないよう、高齢者はICTリテラシー(習得度)を身に付けなければならないということだろう。

 

・さらに医療や年金などの社会保障の負担が、現役世代に重くのしかかり、個人格差が広がり地域社会やコミュニティ意識が希薄化するおそれもある。こうした社会背景において、ICTはパラダイムシフトをもたらす原動力の一つとして期待されている。時間や距離といった制約を越えて積極的な利活用を促すことにより、将来的に高齢者の生活を変革し、活力を引き出すエンジンになるとも期待されている。いよいよ、情報化と高齢化が融合する人類史上初めての新複合時代の幕開けである。

 

<解消するか、デジタル・デバイド(情報利活用格差)>

・既に60歳代の団塊の世代は8割がインターネットを使える調査結果もあり、シニア世代の本格的デジタル経済が間もなく始まる。

 

<政府が超高齢社会対策に乗り出す>

・今後、特に2025年問題の解決策として、下記の諸点を重点分野にした対応が急がれる、と報告された。

 

1、 在宅医療・介護を徹底して追及する

2、 住まいの新たな展開を図る

3、 地域づくりの観点から介護予防を推進する

 

<高齢者雇用が地方創生の鍵>

2020年には約8割の高齢者が介護不要で自立できるといわれている。つまり元気なアクティブ・シニア層が増えるということだ。このアクティブ・シニア対策が喫緊の課題となっている。少子高齢社会の中でますます生産労働人口が縮小する。経済成長の制約となっていた生産労働人口の減少を解消するのはどうしたらよいのか。

 

・最近多くの企業が導入し始めている取り組みは、

 高齢者の退職年齢を上げる、

 フレキシブルな働き方を提供し、働きやすい環境を作る、

 クラウドソーシングなどを利用して、インターネットを使い、適材適所の仕事を依頼する、

 テレワーク(在宅勤務)を推進する、などがある。

 

・高齢化に加え、少子化も深刻な日本では、今後の労働力が懸念される。地域の過疎化や就労機会が減少すれば、少子高齢化が進む地方では地域経済そのものが疲弊する。こうした問題を解決するのが、“テレワーク”だ。在宅勤務で日本を変えるというスローガンのもとで、さまざまな取り組みがスタートしている。

 

・テレワークのメリットは、満員電車に揺られて通勤する必要のない、働く時間や場所の制約がない点にある。もちろん会社に勤める他の社員や職員と同様の成果を挙げなければならないし、同等の拘束時間や仕事のクオリティも追及されるだろう。しかし、時間や場所に縛られないテレワークの働き方は、働く意欲があっても、体力的な理由から通勤が困難な高齢者や、出産、育児、介護に時間が必要な就業者が仕事をすることができることから、今後成長が期待される分野である。

 

・また、多くの人材を確保することが難しい中堅・中小企業にとっては、全国各地から人を募集できるので、有能で多様な人材を幅広い範囲で確保することができ、さらには生産性向上につながるともいわれている。この他、テレワークによって、家族と過ごす時間や自己啓発や趣味の時間が増える等、生活にゆとりが生まれ、ワークライフバランスの向上にも効果があるだろう。

 

実際にはまだ大企業を中心に1割の導入に留まっているテレワーク制度であるが、高齢者の社会参加や社会貢献に加え、ワークライフバランスの観点から有効な施策となる。資本金50憶円以上の企業では25%の普及である。働き方だけではなく、新しい高齢社会モデルを構築するための地域振興や規則改革を同時に進めることも検討しなければならない。

 

・また高齢者の起業も盛んだが、数少ない成功事例の一つが福島県上勝町で行われている“いろどり“事業だ。高齢者の自立支援策、日本料理を飾り付ける草花を、地域の植物をよく知る高齢者が収穫し、全国の料亭に、タブレット端末を利用して販売する”葉っぱビジネス“が注目を集めている。

 

<総務省「ICT超高齢社会構想会議」>

・高齢者が自ら会社を興し、地域に還元し経済を潤す。高齢者は生きがいを見つけ社会貢献ができる。こうしたモデルが日本全国で展開できれば、地方創生は現実のものとなる。筆者の小尾が委員長を務めた総務省の研究会で視察した東京都三鷹市では自治体が高齢者の起業を応援しているケースだ。NPO「シニアSOHO普及サロン・三鷹」が中心となって活動している。この他、地域支援マッチングのアブセックや孫育て工房で地域ケアのBABAラボをはじめとする高齢者の自立支援地域プロジェクト事例は急増中である。

 

 問題は日本全国で展開される数多くのプロジェクトが政府の支援や特区モデルを離れた時、プロジェクトが自立し、独り立ちできるかが勝負である。

 

人類は“シルバー・ツナミ(津波)”で滅亡するリスクがある

“シルバー・ツナミ”とはピーク時に24億人に膨れ上がる高齢者集団が津波のように押し寄せてくる、との比喩的な表現である。スピーチの続きだが、「世界で最初にシルバー・ツナミに襲われるのは日本であり、我が国の対応次第で世界の歴史が変わるかもしれない」と述べた。

 

・全てを書き終え、次の四つの分野にわたる優先的課題解決の必要性を理解することができる。

 

1に、雇用問題である。深刻な労働力不足が将来起きるが、高齢者、そして女性の活躍こそ日本再生の王道である。特に、アベノミクスが目指す女性が輝く社会の推進は超高齢社会において必要不可欠であり、一歩でも前進することを望みたい。残念なことに、日本の女性の社会進出は、先進国中、韓国に次いでランクが低いのが実情である。

 

・第2に、シルバービジネス3000兆円市場(2050年)への企業努力である。

 

・第3に、日本の経験や教訓を後に続く世界各国に紹介していく国際貢献の責務を忘れてはならない。

 

・最後に、電子政府など行政の役割である。今後の研究課題だが、高齢者に優しい電子政府の推進が経済活性化の鍵を握ることを証明する必要がある。

 

電子政府がフルに活動すれば、日本政府は経費の3割をカット可能との試算がある。

 

 

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